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職場のオンナの子が、「20歳過ぎると時間の流れるのがハヤいわ~」と、ヒトコトもらしたのを受けて「40過ぎるともう滝だよ」とカエしたら、筒井康隆の短篇小説「急流」を思い出した。世の中のスピード化と相俟ってあれよアレヨという間に体感時間が加速して・・・活字で追求しうるスラプスティックの極致ともいえるラストは凄いのヒトコト。また偶然にも丁度読んでいた、異色作家短編集「13のショック」(リチャード・マシスン/早川書房刊)に収禄の「人生モンタージュ」のイメージまでがオーバーラップ。理解不能な力がはたらいて映画1本分=約85分間に全人生を編集されてしまう男の皮肉な物語がムカシ読んだ時以上に切実に感じられたが、これもトシのせいか?とかく時間というものはヒトの手ではどうにもならないにもかかわらず、これほど日常と切り離しては考えられないヤッカイな存在だナ、との認識をアラタに時間テーマのSF映画2本。 3月29日、午前9時45分よりMOVIX倉敷シアター6にて「ドラえもん のび太の恐竜2006」。シゴトのシフトの都合で、新キャストによる“ドラえもん”スタート後1年を経てはじめてハイケン。オトナ諸氏がトシガイもなく違和感をうったえるのを未だ耳にするが、そんなコトいったらスタート当初の大山のぶ代(それまでは“ハリスの旋風”や“無敵超人ザンボット3”での腕白な役柄や、のらくろの声の印象が強かった)だって初代ドラえもん=冨田耕生(2代目バカボンのパパ)の声と比べると、違和感アリアリだったヨな。閑話休題、1980年公開のオリジナル版では、白亜紀の大空をタケコプターで飛ぶのび太一行にカブさる主題歌のインストにあわせて客席から湧き起こったお子たちの大合唱に圧倒されたモノだが、もうミンナお父さんお母さんになって子供連れで観に来てるンだろうか?25年の時の流れの作用で、ティラノサウルスはゴジラのようにシッポを引きずらなくなり、古生物学上存在しないコトになったブロントサウルスはアラモサウルスにさし変えられた。ソレよりナニより、個人的にはピー助ことフタバスズキリュウに代表される首長竜が竜盤目にも鳥盤目にも属さないため分類学上恐竜のナカマに数えられナイことを知ってしまったのも大きい。今でこそ映画ファンのあいだでは“ドラえもん”の代名詞のようなイメージもある劇場版シリーズだが、オリジナル版“のび太の恐竜”に対する視線は冷ややかだったと記憶している。フタを開けるやそうした評価を一気にひっくり返してしまった作品そのものの力が現在もシリーズを支えているといって過言はないだろう。最新の技術によるリニューアルの中にもオリジナルへのリスペクトを忘れていないアタリは立派。今ヒトツ、贅沢をいわせてもらうなら四半世紀前、藤子F不二雄センセイがモノにした最初のシナリオが映像となって動くトコロを観てみたい!生前、漫画家はみんな映画ファンだと思うと公言してはばからなかったという藤子センセイ自らの手による、第一稿ををそのまま映画化すれば上映時間2時間30分を越えたであろうといわれている。コレこそが正真正銘の“大長編ドラえもん”ではないだろうか? 続いて、午後1時40分よりシアター2にて「サウンド・オブ・サンダー」。 「火星年代記」や「華氏451度」に代表される叙情性あふれる作品で名高いレイ・ブラッドベリの短篇の映画化。タイムマシンの開発によって時間旅行が可能となった2055年の世界が、些細なミスから白亜紀で起こったタイムパラドックスの脅威にさらされる様子をVFXを駆使して描き出す。作品そのものの印象が“リアルのび太の恐竜”といった感じなのに加え、原作版の後日談を書き加えて長編映画に仕上げているという大きな共通点がある。仲間に向けられたティラノサウルスの関心をそらすためのリアクションが「~のび太の~」とそっくり同じなのも笑えた。“そして雷のような音”・・・マンガの世界ではショックを受けた登場人物の後頭部に“ガ~ン”という擬音が浮かび上がるが、原作短篇のラストに鳴り響くこの音こそがそのルーツではないか?と思えてならない。弦昨晩では、こ~んな五色を重わせる主砲で―6億5000万年前の蝶のはばたきがもたらした皮肉な効果を表現している。古典の域に達したSFを語る上でモンダイになるのがSFとしての鮮度。月にも火星にも生き物がいないのは言うに及ばず科学の進歩によってナマモノとしてのSFは風化にさらされる。それを補って文学としての高みへと導くのが作家ごとが持ち合わせた“語り口”といえるだろう。この「サウンド・オブ・サンダー」という映画の後半部には作品のキモともいえるブラッドベリイの語り口がスッポリとぬけ落ちている。映画独自の表現形式に裏打ちされた新たな視点もない。時間を題材にしたSFといってもその描きようは多種多様。目の付け所をひとつ変えてみるだけで印象は大きく変わってくると思う。例えば日本ではフクザツな受け取られ方をした長編小説第1作「スターシップと俳句」で知られるタイ出身のSF作家ソムツ・スチャリトクルが‘81年に発表した短篇「しばし天の祝福より遠ざかり……」は、はるかに高度な異星人の子供たちに観察されるために地球ごと特殊な時間の輪に囚われた人類によるささやかな抵抗を描いた時間テーマSFの異色作。2時間の休憩を挟んで同じ1日を700万年にわたってエンエンと繰り返すハメになった人類の苦悩と、タイムサファリと称する時間旅行者に何度も何度も殺され続けなければならない恐竜の悲哀にどんなカワリがあるだろうか?ソノへんがもう少しツッコンで描けていたらB級SF映画史に残る傑作になってたかも。 このたびの映画化のために新たに付け加えられた暗黒世界によく似たシチュエーションは「ドラえもん のび太のパラレル西遊記」にも見られるが、劇場公開から10数年を経たこのアニメ映画の方がはるかにスマートさを感じずにいられない。劇中、セレブ相手の時間旅行で大もうけをたくらむ銭ゲバ社長(ベン・キングズレー)の口癖のなかで月着陸のアームストロング船長をはじめとする英雄たちにまじって“ブルーベーカー”“火星”といった名詞が耳に入ってくるが、これは「カプリコン1」にひっかけたシャレ。ホント「カプリコン1」は昨今取りざたされてる“アポロは月へ行かなかった”説の元ネタとも言われるサスペンス映画の傑作だったケド、その1作で燃え尽きた(!?)感のあるピーター・ハイアムズ監督がメガホンをとっているんだから、過去に遡ってムチャクチャをやらかしてるのにタイムパラドックスが生じない・・・何故か?と、いったおハナシにしてもオモシロカッタのでは?
by oka-cpc
| 2006-03-31 12:24
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